尼崎市にある「大物公園」で蒸気機関車が無料開放されているとの情報を得ましたので、4月中旬に行ってきました。
機関車が保存されている公園は、阪神「大物駅」から徒歩5分程度にあり、国道2号線に面しています。
入り口から入っていくと、すぐ目の前にデンッと鎮座しております。
この日(4月17日)は今年に入って最初の公開日でしたので、雑草を抜いたりサビを取ったりとメンテナンス作業が行われていました。
ぐるりと周囲を金網が囲っており、ふだんは外から眺めるだけなんですが、なんと月に1日だけは開放されています。
金網の上にはまさかの「有刺鉄線」。
ここ、大物公園に展示されている蒸気機関車はD51(通称デゴイチ)のなかでも番号の若い「D518」。
ウィキペディアによると、D51はなんと1115両もつくられたそうですから、そうとう古い部類に入る車両ということですね。現在、保存されているD51の中でも1、2、6に続き4番目に若い番号らしいです。
昭和11年3月31日に「川崎車輌」で生まれました。
今年で79歳。
昭和47年12月まで36年間にわたって走り続け、その距離はなんと地球と月の間を3往復するという。もう想像の域を超えています。
その勇姿を前から見てみる。
車両はもちろん線路上に保存されています。車輪止めもあります。
車輪まわりの機構もそのまま保存されている。
保存状態がよいのはボランティアの方によって愛情込めて整備されているおかげ。
重厚感あふれますね。
ジロジロながめていると、ボランティアの方がいろいろと教えてくれました。
車輪の横に伸びている管からは、滑り止めのための「砂」が出てくるという。
機関車の上部を覆うドームは、その形状から「ナメクジ」と呼ばれているそうです。さらに大きく覆うドームをもつものは、「おおナメクジ」と呼ばれているとのこと。
開放日は、なんと運転席に入ることができます。
そのへんの拝金主義のアトラクションと違って、すべて無料ですからね、無料!!
さっそく階段をのぼってみる。
各種メーターなどが生々しく保存されています。
「S形車内警報表示」と書かれています。
運転席にはゴールドに光るレバーが。
足元にはフットペダル。
このペダルを踏むと、滑り止め用の砂が排出される機構になっています。
なにげに上方から垂れ下がるT字のレバー。これはみんなが大好きな警笛のレバーですね。
運転席と助手席の中間あたりには、ゴールドに塗られたカバーに包まれた蛍光管のような装置があります。実はこれ、蒸気機関に使われる水の「水位」を一定の高さに合わせるためのメーター。
機関車が走るのは平地だけとは限りません。のぼり坂や下り坂では水が傾き、適切な水位が保たれないこともあります。
そんなとき、このメーターを使って適切な位置に合わせるわけですね。
こちらは運転席の窓から前方を見た景色。
こっちは右側にある助手席から見た景色。
うーん、意外と視界が悪いんですね。
運転席の後方には、炭水車。石炭と水を入れる場所ですね。
なんと、燃料となる「石炭」も展示されています。
手にとって触ることもできます。
大物公園は阪神電車を「大物駅」で下車してすぐです。
蒸気機関車は金網の外からならいつでも見ることができますが、4月から11月の間、毎月第3日曜日は開放されています。
時間は朝の10時から12時までと、午後1時から夕方4時までです。もちろん「無料」。
運転席の中まで自由に見られるのは、鉄道に興味のない人にとってもめったにできない経験ですのでオススメです。