「静脈は青ではなく灰色」って本当!?

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京都新聞社のサイトに2014年06月25日付けで気になるニュースが掲載されていた。

“青い”静脈、実は“灰色” 目の錯覚と確認

ヒトの腕などで青く見えている静脈の色が実際は灰色であることが、立命館大の北岡明佳教授の研究で分かった。肌の色に影響されて目が錯覚を起こしているのが原因で、正確に静脈注射する技術などに応用できるという。

人間の視覚には、同じ灰色でも、周囲を赤で囲むと青く、青で囲むと赤く錯覚する「色の対比」という現象がある。北岡教授は静脈を見る際にも同様の錯覚が強く起きている可能性があると推測した。

腕や脚を撮影し、画像処理ソフトで静脈の画像の色を調べたところ、実際は黄色がかった灰色だった。光の三原色である赤、緑、青の割合でも青がもっとも少なく、目の錯覚で青く見えることが確かめられた。

手や脚を見ても静脈は青としか思えないが、本当に灰色なのだろうか?気になったので検証してみた。

明智の左足内側(写真1)および山中川の右腕(写真2)を撮影した画像の静脈部分から合計3ポイントを選択し(赤色の○印で囲み番号を付けた)、各ポイントの色をAdobe Photoshop 6.0のカラーピッカー機能により解析した。

写真1

写真2

撮影条件は以下の通りである。
絞り値: f/2.8
シャッター速度: 1/50秒
ISO感度: 360(写真1)および400(写真2)
露出補正: +0.3
フラッシュ: なし
モード: 絞り優先

結果を図1に示す。

図1

左上および右上は写真1のポイント1および2、左下は写真2のポイント3に関する解析結果である。ポイント1は黄味がかった灰色、ポイント2は赤味がかった灰色、ポイント3は黄味がかった灰色であり、RGB値はそれぞれ(158,157,145)、(175,171,173)および(153,133,102)で、いずれも青系ではなかった。これらの結果は北岡教授の発表を裏付けるものである。

我々はさらに、写真2のポイント3の左上方向にあるホクロの色についても同様の解析を行った。その結果を図1の右下に示す。ホクロの領域から選択した1ポイントのRGB値は(183,181,191)で、青味がかった灰色であった。

静脈よりむしろホクロの方が青味がかっているとの結果を得たが、今回はホクロを1個しか検討しておらず、ホクロの色に関して結論を導くためには多くのホクロについて検討する必要がある。

結論
・静脈は青ではなく灰色である
・静脈が青く見えるのは目の錯覚である
・山中川博士の右腕にあるホクロは青味がかった灰色であった

(写真:山中川&明智、文:明智)

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